2026.03.10
東京都はなぜ「民間主導」を選んだのか。
Tokyo 5G Boosters Projectが示した、スタートアップ支援の新しいかたち
株式会社企 代表取締役 クロサカタツヤ氏
東京都は令和2年度から6年度にかけて、5Gを活用したスタートアップの開発・事業化を支援する「5G技術活用型開発等促進事業(Tokyo 5G Boosters Project)」を実施した。
この事業では、東京都がスタートアップを直接支援するのではなく、都と協働してスタートアップの支援を行う民間事業者を「開発プロモーター」として募集・選定。彼らを通じてスタートアップの開発・事業化を資金面・技術面など多面的に支援するという事業スキーム、またその開発プロモーターの取り組みに対して成果報酬型の協定金を支払うという新たな仕組みが採用された。
審査委員としてTokyo 5G Boosters Projectに事業開始当初より携わってきたクロサカタツヤ氏に、民間に支援を委ねた狙い、その枠組みのなかで行政が果たした役割、後継事業も交えた今後の展望について聞いた。
──Tokyo 5G Boosters Projectでは、東京都が直接スタートアップを支援するのではなく、開発プロモーターという民間事業者が支援を担いました。この仕組みをどう見ていますか。
クロサカ氏:テクノロジー全般に言えることですが、多くの技術が高度化している時代です。行政もさまざまなサービスを提供する当事者ではあるものの、あらゆる技術に精通できるわけではありません。5Gや通信技術はそれ自体の理解も難しいうえに、2020年に商用サービスが始まったばかりで、何にどう使えるのかもまだわからない状態でした。

Tokyo 5G Boosters Projectが挑戦的だったのは、まさにそのタイミングで事業を開始したことです。いわば「先生がいない状態」で切り開いていかなければならない。行政にも民間にも正解を知っている人がいないなかで事業を進めるには、この仕組みでなければ成立しなかったのではないでしょうか。
2020年はコロナ禍とも重なりました。新しい技術領域であること、知見がないこと、そしてコロナ禍。ある意味では三重苦だったかもしれません。都の職員の皆さんは能力が非常に高いので、そのタイミングで東京都単独で同様の事業を実施することも不可能ではなかったでしょう。ただ、その場合の負担は10倍はあったのではないかと感じます。
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