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2026.03.10

未来の暮らしがすぐそこに。
「Tokyo 5G Boosters Project」が届ける、新しい東京の姿

病院に行かなくても目の診察が受けられる。ドローンが空を飛んで荷物を届けてくれる。離れた相手と立体映像で会話できる──こうした技術が、いま東京で実用化に向けて動き出している。

コロナ禍を契機にデジタル化の重要性が急速に高まるなか、東京都は次世代通信規格「5G」の技術・サービスを活用した非接触型社会の実現を理念に掲げ、令和2年度から6年度にかけて「Tokyo 5G Boosters Project」を実施してきた。民間の事業者と協働しながら、スタートアップ企業の開発・事業化を資金・技術・ネットワークなどの面から支援する取り組みだ。都心から山間部、離島まで多様な環境を持つ東京を実証の場に、医療、物流、防災、エンターテインメントなど幅広い分野で成果が生まれている。

そこではどのようなアイデアがかたちになり、私たちの生活はどう変わっていくのか。食品の鮮度測定、自律型搬送ロボット、街を丸ごと再現する3Dデータ、住民参加のまちづくり──4つの事例と、審査委員を務めた外部専門家の声から、未来に待つ新しい暮らしの兆しを見ていこう。

【Case 1】「まだ食べられる?」を測れる日常へ

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Milk.株式会社 代表取締役CEO 中矢大輝氏

まだ食べられるのに捨てられる食品──いわゆる「フードロス」は、日本で年間464万トンにのぼる(令和5年度推計値)。国民一人あたりに換算すると、毎日おにぎり1個分(約100g)の食べ物が捨てられている計算だ。

その削減に向けた取り組みが喫緊の課題となるなか、Milk.株式会社が挑んでいるのは「鮮度の可視化」。食品があと何日もつのかがわかれば、「念のため捨てる」を減らせる。

同社が持つのは、人の目に見えない光の情報を読み取り、対象の状態を数値化する技術だ。もともとはがんの早期診断システムの開発に取り組んでいたが、この技術を応用し、魚や野菜といった食品の鮮度を測定できるデバイス「イロドリ(IRODORI)」を開発した。実証を経て、応用範囲は想定を超えて広がっている。

「アパレルメーカーでは、衣類の品質検査に使われ始めています。また、高価なウイスキーの真贋判定にも使えることがわかりました。ボトルは本物でも中身が偽物というケースがあるんですが、人が見てもわからない。それをこの技術で判別できるんです」(中矢氏)

「見えないものが見える」技術が、私たちの食卓や暮らしの安全を支える日が近づいている。

【Case 2】ロボットが街を走り回る日のために

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株式会社Piezo Sonic 代表取締役 多田興平氏

荷物を届ける。建物の中を巡回する。危険な場所を点検する──ロボットが街中で活躍する未来は、すぐそこまで来ている。ただし、そのためにはロボットが「確実に動き続けられる」通信環境が必要だ。

株式会社Piezo Sonicが開発するのは、屋外でも走行できる自律型の搬送ロボット。Tokyo 5G Boosters Projectでは、大手IT企業のTIS株式会社と連携し、ロボットが移動しながら映像を送信したり、遠隔から操作を受けたりするのに、5G通信がどこまで使えるかを検証した。

検証に用いられたのは、「ローカル5G」という仕組みだ。一般の携帯電話回線は、災害時など多くの人が一斉に使うと混雑する。ローカル5Gは施設や敷地ごとに専用の通信網を構築するため、外部の混雑に影響されない。

「東京都の施設にローカル5Gの通信環境が整備されていけば、災害時でもロボットが建物の中を見回りに行くことができるようになります。『ここにいれば大丈夫だ』という安心感を届けられるのではないでしょうか」(多田氏)

検証を経て、「5Gで何ができるか」の手応えが得られた。ロボットが私たちの暮らしを支える未来に向け、実用化への一歩が踏み出されている。

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